2024.8.12

7月27日(土)、お茶大コンピテンシー育成開発研究所主催の第26回国際日本学シンポジウムが開催され、桜蔭会髙﨑と副会長、そして茨城支部長が傍聴しました。そのプログラムは以下です(発表者名省略)。

1.問題提起 大学卒業後のわたしたち―「同窓」というつながりとその機能―
2. 明治から昭和初期における同窓会主催の講習会―卒業後の学びと教員ネットワーク―
3. 戦前期における「女子大」同窓会の機能―東京女子大学を事例として―
4. 聖心女子大学同窓会のあゆみとその活動
5. 女子大のキャリア教育における卒業生の役割―お茶の水女子大学論ロールモデル講演を事例として―

最後に総括としてのシンポジウムがありました。

このようなプログラムで、女子大学の卒業生・同窓会に関して多角的な報告や分析が行われ、桜蔭会としても、非常に興味深く、考えさせられる内容でした。この短いコラムでは、全容はとてもお伝えできないですし、いずれ冊子となって刊行されることと思いますが、せっかくですから、記憶の新しいうちに少しだけでもご紹介したいと思います。

1. について―女子大の同窓つながりは「ビジネス型」「卒後教育型」「社会奉仕(結婚相談等含む)」等のタイプ、あるいはそれらを包括したものが見られる。「ビジネス型」はマイノリティとしての女子大卒業生が連帯する場であり、企業内での学閥などとは異なる質のもの。桜蔭会はそれらを包括したものかな、と思いました。

2. について―桜蔭会が戦前に開催した、卒後の学びと教員ネットワークづくりを目的とした夏期講習会について。文部省の講習や桜蔭会の総会なども近い時期に行われ、地方の教員会員の上京の機会ともなった。中断や不振の時期もあり、趣味実技系や学術系など幅も広かったが、老若ともに、という縦つながり、地方や学科という横つながりでお互いを高め合う自己研鑽、日頃と違って“生徒”に戻れる楽しい時間、そこから大学での学問のような学びも出てくる、ということで、これぞ“ザ・桜蔭会”だと思いました。

3. について―戦前の3女子大(学制では「専門学校」:東京女子大・津田塾大・日本女子大)と官立東京女高師は、それぞれ母校の創立理念・教育理念を同窓会も受け継いで、それぞれの個性をもって活動。社会的マイノリティとしての女子大出身者は、母校への報恩の思いと、学びを自分の中だけにとどめない、社会貢献の意識があったということです。

4. について―同窓会「宮代会」は、親睦と母校への協力に加えて、生涯学習的なOGの活動、キリスト教精神にもとづいて、点訳奉仕やホームレスのための諸活動、使用済み切手を集めての“ちりつも貯金”、献身的な出品で有名なバザーなど、さまざまな奉仕活動を大学外にも広げていったとのことです。

5. について―「お茶の水女子大学論」という授業でのさまざまな卒業生ロールモデル講演の紹介をしていただき、今の学生さんは幸せだなあと、ロールモデル無しに孤軍奮闘・刀折れ矢尽き・満身創痍…していた我々世代は羨ましかったです。(今桜蔭会でも就活応援をやっていますよ、とZoomの向こうで声を出したくてムズムズしてしまいました。)

その中で、特に印象に残ったのはこの「お茶の水女子大学論」が創設された背景です。続きは「その2」で。

桜蔭会 会長 髙﨑みどり