令和6年度入学式
―緊張と喜びと
2024.4.5
4月4日、午前中学部入学式、午後大学院入学式が、徽音堂で行われました。つい2週間前の色彩と光に満ちていた卒業式とは打って変わって、黒っぽいリクルートスーツ一色で埋まっていました。起立のときにあわてて立ったために手荷物を「ごろん」「どたっ」と落とす音が起きても、誰もクスリともしません。
学部の入学許可が学長の澄んだお声で次々となされるなか、「共創工学部」(人間環境工学科:入学定員26名、文化情報工学科:入学定員20名)の番になると、「……!」、静かなどよめきが講堂いっぱいに走ったようにおもわれました。何十年か思い出せないほど久しぶりの新学部誕生の瞬間だ!と。
それで、式後の桜蔭会からの説明の時に、桜蔭会が、“国策”に従った故ではあるが、今から約80年前に「桜蔭女子工学院」をつくり、大学への昇格も視野にいれていたことなどをちょっとお話してしまいました(詳しくは会報復刊263号参照)。「工学」の趣旨・内容は全く異なりますが、社会からの強い要請のもとに期待を背負って誕生した経緯は似ています。また、先輩たちの中には、卒業後、工学系の大学・大学院に進んで、工学分野に貢献された方も少なくないようです。
そんなことを考えつつ、自分が入学したときの席のあたり(覚えています、通路から4人目でした)を見やって、隣近所の人がみな秀才に見えたこと(実際そうだった)など思い出すうち、同じ年に入学した他の学部学科の人たちは今頃どうしているのか、こうして一緒に入学式を経て、お茶大という同じ屋根の下で、一生懸命勉強し、卒業式を経て日本中に散っていった“同期”の皆様は?
今年の入学式では、音楽表現コースによる校歌「みがかずば」の合唱(本当に心に響く美しさでした)がありましたが、もちろん新入生は唱和できず聞くだけです。他大のような校歌歌唱指導があるわけでもありませんし。附属高校からの進学者を除き、大半の学生さんが入学式で初めて聞き、卒業式で歌うのが2回目という御縁で、それで終わり、ということになるのかな。こんなに愛唱されない校歌も珍しいかもしれません。かみしめればお茶大を体現するような良い歌なのに。
続いて学生歌「緑萌え立つ」「大空に」も合唱されました。これらは卒業生でも知っている人は少なく、ましてや3番まである歌詞で歌える人は殆どいないと思います。昭和48年卒の私は、お茶大生時代ちょっとだけ属していた合唱サークルで、練習の終わりに「みどりもえたつ なみきみち ひはかがやいて すがしいあさ~」を歌いましたので、今も辛うじて歌えますが(今回、小さい声でこっそりと唱和しました)。
そんなこと、あんなことを考えさせられた、とても意義深い素敵な入学式でした。
5月の卒後約50周年同窓会で、みんなで「みがかずば」を合唱し、合唱サークルOGに「緑萌え立つ」の歌唱指導をしていただきませんか。
☆彡奮ってご参加を☆彡
桜蔭会 会長 髙﨑みどり